この法律が禁止する差別は?
障害者差別解消法では2種類の差別を禁止しています。2016(平成28)年の施行(実際に法律が有効になること)に向けて、何が差別で何が合理的配慮なのか、それぞれの分野に関係する省庁でガイドラインがつくられます。JDFでは「部会意見」などを参考に、以下の(1)、(2)のように2種類の差別に整理してみました。
(1)不当な差別的取扱い
① 「見えない」「聞こえない」「歩けない」といった機能障害を理由にして、区別(分けること)や排除、制限をすること
(例1)それまで利用していたインターネットカフェが、その人に精神障害があるとわかった途端、店の利用を拒否した。
(例2)聴覚障害のある人が、一人で病院を受診したところ、「筆談のための時間がとれない」との理由で、手話通訳の派遣の依頼もせずに受診を断られた。
② 車いすや補装具、盲導犬や介助者など、障害に関連することを理由にして、区別や排除、制限をすること
(例)盲導犬を連れた人が「動物は店に入れることができません」とレストランの入店を拒否された。
ただし、上の①、②の行為が、だれがみても目的が正当で、かつ、その扱いがやむを得ないときは、差別になりません。
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(2)合理的配慮を行わないこと(合理的配慮の不提供)
障害のある人とない人の平等な機会を確保するために、障害の状態や性別、年齢などを考慮した変更や調整、サービスを提供することを「合理的配慮」と言い、それをしないと差別になります。
ただし、その事業者などにとって大きすぎるお金がかかる場合などは合理的配慮を行わなくても差別になりません。「変更や調整」とは何でしょうか。以下のように整理してみました。
時間や順番、ルールなどを変えること
(例1)精神障害がある職員の勤務時間を変更し、ラッシュ時に満員電車を利用せずに通勤できるように対応する。
(例2)知的障害がある人に対して、るびをふったりわかりやすい言葉で書いた資料を提供する。
設備や施設などの形を変えること
(例)建物の入口の段差を解消するために、スロープを設置するなど、車いす利用者が容易に建物に入ることができるように対応する。
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補助器具やサービスを提供すること
(例1)視覚障害がある職員が仕事で使うパソコンに音声読み上げソフトを導入し、パソコンを使って仕事ができるようにする。
(例2)発達障害者のために、他人の視線などをさえぎる空間を用意する。