要望書・意見書
■最終更新 2016年3月31日
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障害者差別解消法の施行にあたっての声明
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下、障害者差別解消法)が、明日4月1日より施行されます。また同日に、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」のうち、障害者に対する差別の禁止等についての条項が施行されます。障害者や関係者が長く実現に向けて取り組んできたこの法律の施行を私たちは歓迎するとともに、これまでさまざまな形で尽力いただいた多くの関係者に改めて敬意を表します。
1981年の国際障害者年などを契機に、国内の障害者施策は大きく進展してきましたが、残念ながら、今日に至るまで、不当な差別的取扱いにより、長く苦しむ人たちがいる現実があります。1990年に米国において障害をもつアメリカ人法が成立して以来、各国で同様の法律が作られましたが、日本においても、障害を理由とする差別を禁止し、障害の有無に関わらず等しく基本的人権を保障する法律の制定が待ち望まれました。
このような中、日本障害フォーラム(JDF)は2004年に発足し、国連において採択に向けた審議が始められていた、障害者権利条約の推進に取り組みました。この条約は2006年に国連で採択され、日本も締結に向けた準備を開始しましたが、JDFでは、締結に先立って、まず条約の水準に見合う国内法制度を整備すべきとの主張を一貫して行いました。そして2009年から、条約の締結に必要な国内法の整備を旨とする障害者制度改革が開始されましたが、このような取り組みの結果として、2013年6月19日に障害者差別解消法が成立したことを、改めて銘記すべきです。
法が施行される今、2014年に締結された障害者権利条約を履行する観点からも、この法律を通じて、差別をなくす実質的な取り組みをいかに進めていけるかが課題となります。同時に今回の法律に盛り込むことができなかった事項についても、改めて今後の課題として認識し、次のような取り組みを行うべきです。
実践と事例を積み上げ、現在の法律に明記されていない、生活上のどの分野において、どのようなことが差別や合理的配慮とされるのかを明らかにしていくとともに、その解決のための相談や救済などの仕組みを具体化していくことが必要です。
このためには、身近な生活の場である地域における取り組みが重要であり、今後JDFでも、地域の障害者団体と連携し、各地における障害者差別解消支援地域協議会や、障害者差別解消条例、手話言語・コミュニケーション条例などの取り組みを後押ししながら、法の実施を民間から推進していく所存です。
こうした取り組みは、現在合理的配慮が法的義務になっていない民間事業者*を含む、多くの関係者の理解と参加を促し、法の施行三年後に行われる検討と見直しに活かされていくものと考えます。
最後に、この法律を多くの人に知っていただくことを望みます。障害者の差別をなくすことは、ひいては障害の有無に関わらず、すべての人が分け隔てなく暮らせる社会の実現につながります。
施行を機にこの法律の存在を広くアピールするとともに、国、自治体、事業者、その他の関係者に一層の周知と推進の取り組みをお願いします。
2016年3月31日
日本障害フォーラム(JDF)
日本身体障害者団体連合会
日本盲人会連合
全日本ろうあ連盟
日本障害者協議会
DPI日本会議
全国手をつなぐ育成会連合会
全国脊髄損傷者連合会
全国精神保健福祉会連合会
全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
全国社会福祉協議会
日本障害者リハビリテーション協会
全国「精神病」者集団
全国盲ろう者協会
(*注:改正障害者雇用促進法では、事業主の合理的配慮は法的義務となっている。)
2016年3月31日 厚生労働記者会における会見