要望書・意見書
■最終更新 2016年5月2日
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被災障害者への支援に関する緊急要望書
2016年5月2日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
内閣府特命担当大臣 河野 太郎 様
厚生労働大臣 塩崎 恭久 様
国土交通大臣 石井 啓一 様
日本障害フォーラム(JDF)
副代表(代表代行) 竹下 義樹
被災障害者への支援に関する緊急要望書
平素より障害者施策の推進にご尽力いただいていることに心より敬意を表します。
このたびの平成28年熊本地震においては、多数の住民が被災しているところですが、このうちには多くの障害者が含まれ、緊急の支援と配慮を必要としています。
つきましては、被災障害者の支援に関して、次のことを要請します。
記
1.障害者を含む要支援者の実状把握を、緊急に行ってください。
東日本大震災では障害者の死亡率が住民全体の2倍であると報じられています。自治体、民間団体とともに実状を把握することが速やかな支援につながります。
2.上記の実情把握と、それに基づく支援にあたっては、障害者団体を含む民間団体を参加をさせ、その力を活用してください。
このことは、「仙台防災枠組2015-2030」ならびにこれに基づく防災推進国民会議の趣旨に適うものであり、また東日本大震災の経験からも、支援の質と効果を上げるうえで重要です。
3.避難中の障害者の救援を行ってください。
避難所においては、バリアフリーの確保、情報保障(手話、要約筆記を含む文字情報、音声による情報提供、分かりやすい説明など)、医療・医薬品・装具の確保、使いやすいトイレ、その他休憩場所やプライバシーの保てる場所など適切な居住環境の確保などが必要です。
また、福祉避難所の周知と活用を行ってください。
自宅や自主避難所で生活する人へも物資や支援が届くよう調整を行ってください。
4.今後の余震や住民の避難生活において、一層の情報保障を行ってください。
テレビの緊急放送や災害報道では、字幕、解説、手話放送を行ってください。今後の警報や防災無線、その他住民への情報伝達にあたっては、文字、音声、手話、点字、分かりやすい内容など多様な媒体での伝達を行ってください。手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員の派遣に特別な支援を行ってください。
5.障害者支援事業所への支援を行ってください。
事業所の職員、介助者や、施設設備も被災しています。事業の継続と実施を支援するとともに、施設設備の修復に向けた予算措置、助成などを行ってください。事業所の公費収入については、当面は地震前の水準が確保できるような措置を行ってください。
6.住民の移動手段の確保を行ってください。
交通手段の損壊や、生活環境の激変から、通院、通学、通勤、通所、日常の買い物などの移動にも、今後ますますの困難が生じてきます。福祉運送やタクシー券の配布などを行うとともに、民間の事業者の活動も支援してください。
また同行援護についても、適用条件の緩和等を行ってください。
公共交通機関の復旧にあたっては、バリアフリーを確保してください。
7.今後の仮設住宅、復興公営住宅の建設について
仮設住宅、復興公営住宅の建物および周辺の通路を含む生活環境については、バリアフリーを基本としてください。住宅の計画策定と実施には、障害当事者を含む専門家を参加させてください。
なお公営住宅の一次提供や民間賃貸住宅借上などの情報は、障害者とその団体に確実に伝えるとともに、障害者に優先的に住宅を確保するなどの配慮を行ってください。
8.今後の復旧・復興にあたっては、障害者権利条約を基づく「インクルーシブ」な地域社会の構築を旨としてください。
また国の復興部門に障害専門の部局を設けるとともに、障害当事者を含む専門家を任用してください。
以上
日本障害フォーラム(JDF)
日本身体障害者団体連合会
日本盲人会連合
全日本ろうあ連盟
日本障害者協議会
DPI日本会議
全国手をつなぐ育成会連合会
全国脊髄損傷者連合会
全国精神保健福祉会連合会
全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
全国社会福祉協議会
日本障害者リハビリテーション協会
全国「精神病」者集団
全国盲ろう者協会
厚生労働省への要望書の提出(障害保健福祉部長と懇談)
内閣府防災担当への要望書の提出(被災者行政担当企画官との懇談)