要望書・意見書
■最終更新 2018年6月19日
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名古屋城天守閣木造復元エレベーター不設置に対するJDF声明
~障害の有無によって別け隔てられない共生社会の実現を~
名古屋市は5月30日に木造復元する名古屋城の天守閣にエレベーターを設置しないと正式に表明しました。これに対し、日本障害フォーラムは重大な懸念を持っております。
我が国が2014年に批准した国連・障害者権利条約では、障害のある人もない人も共に生きるインクルーシブな社会づくりを締約国に求めています。また、障害者基本法と障害者差別解消法では、第一条(目的)に「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」と謳っています。それ故に、世界各国でも文化遺産については、文化財保護などの普遍的な価値を守りながらも、バリアフリーかつアクセシブルな環境整備に努めています。
ましてや歴史的建造物に加工を加えてバリアフリー化する場合とは異なり、名古屋市が計画しているのはあくまでも復元物に過ぎないことからしても、名古屋市が新たに建築する建物にエレベーターを設置しないということは、合理的配慮や環境整備を怠り、歩けないという機能障害のある人を含め、急勾配な階段を上り下りできない障害のある人や高齢者を排除することに他なりません。これは、国連・障害者権利条約を策定し、社会的障壁の除去に努めてきた国際的な取り組みに反しております。
名古屋市におかれましては、先頭に立って国連・障害者権利条約と障害者基本法・障害者差別解消法の理念を実践し、障害の有無によって分け隔てられない社会をつくるために、また2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され海外から多くの障害をもつ観光客が見込まれており、早急に下記の取り組みを求めます。
1.エレベーターを設置しない方針を見直してください。 2.現在確立されている技術によって、すべての人が分け隔てられることなく天守閣に自由に上がり、歴史を体験できるように環境整備を行ってください。
2018年6月19日
日本障害フォーラム(JDF)