要望書・意見書
■最終更新 2019年3月7日
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優生保護法被害者のための新たな法律に関するアピール
国民優生法とこれに続く優生保護法は、「不良な子孫の出生を防止する」ことを目的に、障害のある人の意思に関わりなく、子どもを持つ権利・持つか持たないか選ぶ権利を奪ってきました。国による人権を踏みにじる蛮行であり、障害者差別そのものです。1996年の優生条項廃止後も、国内外からの度重なる要請・勧告にも関わらず、国は被害者への謝罪・補償をしてきませんでした。2018年1月の仙台地裁への提訴にはじまり、20人の原告が全国7地裁で国に謝罪と補償を求める裁判に訴えています(3月5日現在)。
私たちは、人間のいのちに優劣をつけ、自らの意思を伝えられない、もしくは伝えにくい多くの人たちが、法律によって身体を傷つけられ、元に戻ることのできない身体にされたことを絶対に許すことはできません。同時に、今なお苦しんでいる被害者に対し、そして無言のまま亡くなっていった多くの犠牲者に対し、深い共感とともに一緒に闘うことを表明します。合わせて、勇気をもって裁判に立ち上がった人たちを全面的に応援します。
現在開会中の第198通常国会に、被害者を対象とした新たな法律が提案されようとしています。当面重要になるのは、この法律の水準です。私たちは、真に被害者の人権の尊厳と回復を図る法律となるよう、少なくとも、 ①国の責任の明確化、②深い謝罪と憲法違反であったこと、③第三者性を担保した認定制度、④ハンセン病被害者など過去の日本における被害回復制度を踏まえた補償内容、⑤被害者からみて信頼に足りうる検証体制の確立並びに再発防止のための啓発活動の実施、⑥国及び自治体が必要な調査及び個別の被害者への通知を行うための権限規定、⑦関連資料の保存などを明記すべきと考えます。また、被害者の多くが自らの意思を表明できないかできにくいこと、高齢であることなどを踏まえ、法の適用や運用に際しても、細心の配慮と特段の対応を求めます。
新たな法律が、憲法の精神に立脚し、障害者権利条約など批准されている関連の国際規範に則り、何より被害者の立場に立つものでなければならず、立法府の良心に恥じない水準となるよう切望します。
2019年3月5日
旧優生保護法下における強制不妊手術に関するJDFフォーラム参加者一同