要望書・意見書
■最終更新 2019年7月26日
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障害者差別解消法見直しについて(要望)
2019年7月26日
内閣総理大臣
安倍 晋三 様
日本障害フォーラム(JDF)
代表 阿部 一彦
障害者差別解消法見直しについて(要望)
貴職におかれましては、日頃より障害者権利条約の完全履行に向け、政策推進をされていることに心から敬意を表します。
さて、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、障害者差別解消法)が施行されて3年が経ちますが、障害のある人々への差別、不当な取り扱いは後を絶ちません。またJDFが昨年行った調査でも、相談体制の不十分さが明らかになり、法律の実効性を担保する事、特に、障害当事者が相談体制に関わっていくことや、そして障害当事者が構成員として参画する裁判外紛争解決の仕組みの導入が急がれるところです。
今般、旧優生保護法による強制不妊手術について想像を遥かに超える被害者の存在が明らかにされましたが、こうした昨今の一連の動きからも、障害者は差別や不当な取り扱いを受け続けてきたことは明白であります。障害を理由とする差別禁止は、障害者権利条約で最も強く指摘されているところで、その政策実行にあたっては、国会や政府等の責任が大きいことは言うまでもありません。
法の制定後、「障害者差別解消支援地域協議会」を設置する自治体が少しずつ増えてきています。しかしその構成員として障害のある当事者が加わっていないケースも少なくなく、障害者差別解消法の意義が共通理解のものとはなり得ていません。
障害者差別解消法の3年後の見直しが障害者政策委員会の大きな課題とされている今、JDFとして、下記の項目を追加いただきたく、ここに要望します。
記
1.差別の定義を盛り込むこと
障害者差別解消法の見直しに際して、差別の定義を明記し、直接差別、間接差別、関連差別、合理的配慮の不提供を差別と定義し、その内容を明らかにしてください。
2.各則を盛り込むこと
分野ごとに具体的な差別や合理的配慮の提供例を盛り込んだ各則を法文に盛り込んでください。
3.民間事業者も合理的配慮の提供を義務化すること
民間事業者も合理的配慮の提供を義務化してください。併せて事業者に対して具体的にどのような合理的配慮を提供すれば良いのかについて相談できる窓口を設置してください。合理的配慮の提供に関する事業者や市民に対し普及啓発も行ってください。
4.紛争解決の仕組みと相談窓口の体制整備を行うこと
・政府から独立した裁判外紛争解決の仕組みをつくり、相手方との調整・調停を行う権限を持たせ、法律の実効性を担保することを求めます。その構成メンバーは、障害当事者団体、法律家、社会福祉専門家等としてください。
なお「差別していない」ことの立証責任は、この仕組みにおいて、差別したと訴えられた側に第一義的にあることとし、それを反証する権利は訴えた側にあることとしてください。
・障害者差別解消法における相談体制については、障害者が地域の身近なところで安心して相談できる障害当事者が構成メンバーに加わったものにしてください。
5.立法府と司法府についても障害者差別解消法の対象とすること
障害者差別解消法の対象が行政機関や民間事業者となっていることから、立法府や司法府についても法の対象とし、さらに実効性を高めてください。
以上