要望書・意見書
■最終更新 2019年8月5日
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障害のある議員の議員活動の保障について(要望)
2019年8月5日
参議院議長 山東 昭子 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
厚生労働大臣 根本 匠 様
日本障害フォーラム(JDF)
代表 阿部 一彦
障害のある議員の議員活動の保障について(要望)
去る7月の参議院選挙において、障害のある複数の候補者が立候補し、うち複数の方が当選しました。この中には、電動車イスを利用し、国会活動中はもちろんのこと、日常生活においても介助が不可欠な方が含まれています。私たちは、憲法や障害者権利条約等に基づき、障害の有無に関わらず国政への参加が保障されていることを改めて確認するとともに、今回当選した方々の活躍に、大いに期待を寄せているところです。
一方インターネット等では、「重度障害者」が議員を務めることや、必要な環境整備や配慮がなされることを「迷惑だ」とするなどの意見が多く見られることを懸念しています。
そのような中、参議院においては本会議場におけるスペースの確保、パソコン等の電源確保、スロープ設置などのバリアフリー化が進められるとともに、介助者の本会議場への入場や代理投票などが認められたことを歓迎します。引き続き、議員本人の意見や希望を尊重し、改善が進められることを切望します。
この中で大きな課題となっているのは、介助者に関わることです。厚生労働省においては、「国会議員に限らず、障害者の通勤や就労の介助はサービスの対象としていない」との立場を変えておらず、当面は参議院が介助の費用を負担することとなったと報道されています。もとより介助サービスは当該議員が職責を果たすうえで不可欠であり、本来であれば、議員活動中も重度訪問介護サービスが継続され、公費による介助が求められるところです。障害のある人にとって、移動や介助の支援は、経済活動であるかどうか、通年かつ長期であるかに関わらず、社会生活を営むうえで不可欠で、通勤中、職場内などの場面によって分けることはできません。雇用施策と福祉施策の一体的展開を推進する観点からも、引き続き制度の改善を望みます。
今回当選した議員が活躍することで、今後多様な障害を持つ人たちが、国政・地方を問わず議員活動を目指す動きが加速し、障害の有無に関わらずすべての人の社会参加の後押しとなることを期待しています。それらを支える制度的基盤の確立を強く求め、次のことを要望します。
記
1.議員活動に関わる配慮や環境整備については、今後必要となるそれぞれの場面において、議員本人の意思を十分にくみ取って対応し、国民の代表者としての活動が十分できるようにしてください。
2.今後とも多様な障害を持つ議員が誕生することを期待し、如何なる障害があろうとも議員活動を行えるような制度や議会運営のあり方を整えてください。
3.介助を必要とする議員に対しては、議員活動中も重度訪問介護が継続され、公費による介助が行われるようにしてください。同様の問題で苦しんでいる多くの障害者に波及させるためにも、経済活動であるかなどに関わらず移動や介助の支援を利用できるよう、制度を検討し見直してください。
4.上記のことを通じて、障害の有無によって分け隔てられることなく議員活動ができることを、国としても社会に積極的にアピールしてください。
以上