JDF-日本障害フォーラム-Japan Disability Forum

JDF は、障害のある人の権利を推進することを目的に、障害者団体を中心として2004年に設立された団体です。

JDF

要望書・意見書

■最終更新 2020年3月27日

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新型コロナウイルス感染症に関する要望

<PDF版>
2020年3月27日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様

日本障害フォーラム(JDF)
代表 阿部 一彦

新型コロナウイルス感染症に関する要望(第一次)

 新型コロナウイルス感染症に関する各種の対策にご尽力されていることに敬意を表します。
 対策にあたっては、障害者権利条約第11条(「危険な状況(…人道上の緊急事態及び自然災害の発生を含む。)において障害者の保護及び安全を確保するための全ての必要な措置をとる」)等を踏まえ、次のことに十分留意されるよう要望します。

1.誰一人取り残さない対策と、障害当事者の参画

 すべての市民を対象とする対策や支援から障害者が排除されることのないようにしてください。

  • 各種対策に障害者の観点や配慮が含まれるよう、対策策定の際には障害者を参画させ、また障害者や関係者の意見を聞くようにしてください。
  • 障害者団体やその支援団体は支援や情報の全国的な・地域内のネットワークを有しており、情報伝達や支援・サービスの提供にも役立ててください。

2.予防・検査・医療体制

(1)マスク、消毒液、手袋等の衛生用品、必要な医療用品を、障害者、および支援者・支援事業所に優先的に供給してください。

  • マスク等は、感染防止とともに、近距離での接触等を伴うサービスの利用(介助、同行援護、行動援護、盲ろう者通訳・介助を含む)に必要となる場合があります。また事業所や支援者がサービス提供を行ううえでも必要としています。消毒液等は、在宅障害者の医療機器の消毒等にも必要です。
  • 優先供給等の通知にあたっては、その内容と対象者を分かりやすく伝えてください。
     (例:重度訪問介護や地域生活支援事業を行う障害福祉サービス事業所が対象に含まれるかなど)

(2)検査ならびに医療を、必要な障害者がすみやかに/優先的に受けられるよう、手順を明確化してください。

  • その際、例えば呼吸障害のある人、人工透析を受けている人、難病のある人などは特に優先順位を上げるなどの、きめ細かな配慮もお願いします。
  • 受診時の配慮(コミュニケーション上の配慮、障害特性に応じた治療・看護など)も行っ<てください。

3.情報提供と相談体制

(1)情報アクセシビリティを確保してください。

  • 新型コロナウイルス(以下、ウイルス)に関する情報発信や、各種会合の開催、テレワーク・リモート学習の推進等にあたっては、点字、音声、アクセシブルな電子媒体、手話言語通訳、字幕・筆談・要約筆記、自動音声認識や補聴装置の活用を含む多様な手段と媒体で、かつ分かりやすい内容を含めた、情報のアクセシビリティを徹底してください。

(2)偏見や不安を招かない正しい情報を発信してください。

  • ウイルスに関する正しい知識に基づき、障害を理由とする差別や偏見が起こらないよう正しい情報を社会に発信してください。
  • また、不安をあおらない報道発表のあり方に配慮してください。

(3)相談窓口へのアクセスを確保してください。

  • 各地域における障害者やその家族・支援者等の相談窓口を明確にし、そこへの移動・情報のアクセスを確保してください。
  • 相談窓口・保健所・医療機関等の連絡先にはFAX番号、メールアドレスの記載も徹底してください。

4.サービスの継続確保・障害者支援事業所等の支援

(1)今後とも想定される休校、事業所等の休業、外出制限などにより、障害者が必要な支援から隔離されたり、または福祉サービスの利用を実質的に制限されることのないようにしてください。

  • 多くの障害福祉サービスは、対面や身体接触が伴いますが、これらのサービスがなければ生活や生存すら成り立たなくなります。例えば風邪により微熱の症状があるなどの理由でサービス利用が機械的に拒否されることがないようにしてください。
  • 通常のサービスが受けられない場合は、代替手段も調整してください。(例:同行援護、行動援護や移動支援の代わりにタクシー費用を助成するなど)

(2)障害者支援事業所等が事業を継続できるよう、支援してください

  • 利用者が休所する場合の報酬や、職員が休所したり、事業所がやむを得ず休業する場合の運営費、人件費などの支援を行ってください。報酬等の算定にあたっては、前年度の実績を踏まえたり、日割りではなく月割りで算定することも含めて対応してください。
  • イベント等の中止に伴う販売収入の減少等の救済措置を行ってください。
  • 施設、事業所における感染などのリスク管理や、感染者が出た際の対応、自主休業の基準など、ガイドラインを示してください。

5.障害者の生活支援、人権擁護等

(1)障害者に対する物品や資金の特別支援を行ってください。

  • 特に在宅の障害者は、通常の福祉・医療サービス以外に、衛生用品や食料、トイレットペーパーやティッシュを含む生活用品、補聴器を含む補装具・医療機器の電池等の確保が困難となったり、移動のための交通費の負担、宅配の利用などの費用負担が増えることになります。公的機関による物品の優先販売、特別供給や、支援金の給付などの仕組みも検討してください。

(2)視覚障害のあはき師などの自営業者を支援してください。

  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師を含む自営業者も、休業を強いられるなど運営上の困難に見舞われており、休業補償や、ならびにマスク・消毒液を含む備品の優先購入の仕組みを設けるなど、支援を行ってください。

(3)施設入所者、入院中の障害者についても特別な配慮を行ってください。

  • 集団感染などのリスク管理や、感染時の対応と支援について、一人一人に情報が届くようにしてください。
  • 入所者、入院中の障害者の面会については、制限が行われることにより、本人/家族等の様子が相互に分かりづらくなり、この状況の中で今後何が起こるのか不安を感じるなどの声が寄せられています。家族・相談支援事業者など支援者の面会は一律に制限せず、必要に応じて確保されるようお願いします。

(4)休校・事業所等の休業要請、緊急事態宣言については慎重に判断してください。

  • ウイルス対策による社会的封鎖と隔離は障害者とその支援者に大きな影響を及ぼします(通学・通所・サービス利用ができなくなり、生活パターンが乱れ、時に生存さえ脅かされる。また支援する家族等の、就労を含む生活が成り立たなくなるなど)。一律の休校・休業要請等は極力行わず、障害者の支援に必要な活動は確保するなど、必要に応じた個別の対応を行ってください。
  • やむを得ず休校・休業等の要請が出された場合は、国・自治体による、当事者・家族・支援者への支援を行ってください。
  • 全国的な緊急事態宣言については、必要性を慎重に判断してください。

以上

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