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■最終更新 2021年3月12日
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旧優生保護法被害者の被害回復を求めるJDF緊急声明
2021年3月12日
旧優生保護法被害者の被害回復を求める
JDF緊急声明
日本障害フォーラム(JDF)
代表 阿部 一彦
現在、全国各地で我々の仲間が、旧優生保護法被害者として国家賠償を求め争っている。今までに、仙台、大阪、札幌の地裁判決では、旧優生保護法が違憲であったことは認められたが、請求の除斥期間が適用され請求棄却という結果が続いている。ただし東京地裁、札幌地裁(2021年2月4日)では旧優生保護法の違憲性にすら言及されていない状況である。こうした状況に危機感を抱かざるを得ない。
旧優生保護法によって傷つけられた身体は元に戻ることはない。自身の被害を何十年もの歳月を経て知ったという人もいる。旧優生保護法による被害は、今なお続いているとの認識のもと、被害を受けた方々を引き続き応援する立場から、次の見解を表明する。
1.20年の除斥期間を適用しないこと
旧優生保護法下における強制不妊手術は、明らかに国策による人権侵害であり、当時、国策を無批判に受け入れてきた自治体、医師をはじめとする医療機関、福祉施設の職員や被害者の家族までもが深く関与し、被害者である障害者が孤立し、「否」の声を上げることができなかった状況は明白であり、20年の除斥期間を適用すべきでない。
2.国家賠償請求権を認めること
憲法(第13条・第14条・第24条)及び国連障害者権利条約等に則り、原告並びに被害者の権利回復のため国家賠償請求権を認めるべきである。
3.被害者に対し「一時金支給法」の個別通知などを行うとともに、5年の期限を再考すること
2019年4月24日に「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が成立したが、被害者による請求件数は依然として少ない。被害者への周知は充分と言えない状況にあるので、被害者の高齢化を鑑み、個別通知を行うなど早急な対応を求めるとともに、一時金の請求期限である5年の規定を撤廃するか、または延長するべきである。
4.被害者に対する補償を速やかに実施し、充実させていくこと
2020年、衆参両院による旧優生保護法の立法経緯や社会的背景、被害の実態調査が決定された。早急に、その結果の検証を踏まえた上で、被害者への補償を速やかに行い、また充実させていくべきである。
5.被害者に寄り添った判決を
JDFは、今後も引き続き、裁判では被害者に寄り添った判決を求めるとともに、旧優生保護法による被害者の権利回復に向けて支援に取り組んでいく所存である。
以上