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■最終更新 2022年6月30日
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障害当事者の権利が守られる精神保健医療福祉と虐待防止施策の実現について(要望)
2022年6月30日
厚生労働大臣 後藤 茂之 様
日本障害フォーラム(JDF)
代表 阿部 一彦
障害当事者の権利が守られる精神保健医療福祉と虐待防止施策の実現について(要望)
貴職におかれましては、日頃より障害者権利条約の完全履行に向け、政策推進をされていることに心から敬意を表します。
日本障害フォーラムの構成団体は、障害者の差別禁止と虐待防止、あるべき精神保健医療福祉、権利擁護のあり方などについて障害者権利条約の規範に基づき各種提案をしてまいりました。
2021年3月に明るみになった医療法人財団兵庫錦秀会神出病院での虐待事件を受けて、事件の再発防止をめぐっては、「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」等において、それぞれの立場からの議論が行われたところですが、実効性の担保と、今後の障害者虐待防止施策の全体の向上をはかるためには、障害者虐待防止法の規定により、虐待の疑いの段階から通報を求められる強力な枠組みを実現することが必要です。精神障害における諸問題についても障害の垣根を越えて全体で考えることが極めて重要です。
2022年8月には障害者権利条約の初回審査が予定されています。障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、とりわけ以下の点に留意して、今後関連法制度の見直しを始めとする必要な措置を講じていただきますよう要望申し上げます。
1.精神科医療機関を含む各領域での虐待防止のために障害者虐待防止法を改正すること
現在、神出病院のある兵庫県議会や神戸市議会をはじめ国内の少なくとも20の自治体の議会では、障害者虐待防止法を改正し、医療機関における障害者虐待の通報義務を規定する旨の意見書が、地方自治法第99条の規定に基づき国に提出されています。精神科医療機関における障害者の虐待防止のために、障害者虐待防止法を改正してください。その際、通報義務の対象について医療機関のみならず、教育機関、官公署なども含めることで、通報者保護を広げ、障害者虐待防止施策の全体設計を促進してください。
2.医療保護入院の廃止、縮減にむけた必要な措置を講ずること
医療保護入院制度については、本人の権利が十分守れず、家族へ過重な負担をかけ続けていることなど、様々な問題点が長年に渡り指摘され続けてきました。医療保護入院の廃止、縮減にむけた必要な措置を講ずる検討を継続してください。
3.隔離・身体的拘束をゼロとすることを目指し、取組を総合的に推進すること
精神科病院の医療は患者のために行われるものであり、患者の尊厳が確保されることが何より重要なことです。「身体拘束ゼロ」を目指して、実効的な措置を講ずるために身体的拘束に至らないための代替手段等について、精力的な検討を継続してください。
以上