JDF-日本障害フォーラム-Japan Disability Forum

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■最終更新 2026年9月9日

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令和8年熊本地震における障害者等の支援に関わる要望

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2026年9月9日

内閣総理大臣 高市 早苗 様

日本障害フォーラム(JDF)
代表 阿部 一彦

令和8年熊本地震における障害者等の支援に関わる要望

 今般発生した令和8年熊本地震における被害にいち早く対応し、被災者の救援と支援に当たられていることに心より敬意を表します。
 熊本県においては、障害者手帳の所持者数や高齢化率などを見るまでもなく、災害時に配慮を必要とする方が被災地にも多くおられます。そうした配慮を前提として被災者の支援や復興を行うことで、すべての住民にとって役立つものとなるとの観点から、次のことを要望いたします。

1.避難所について
 今なお避難されている方々が、より過ごしやすい環境となるよう、次のことを行ってください。
(1)一次避難所に指定されている場所にはベッドや間仕切りなどプライバシーを確保できる設備を必ず常備してください。
(2)トイレについては、洋式トイレの導入を進め、また歩行や移動に困難のある人や視覚に障害のある人への配慮等も行ってください。
(3)利用者への情報提供には、音声によるもの、文字や絵などの視覚によるもの(弱視者に配慮した拡大文字を含む)、点字や触図などによる触覚によるもの、わかりやすい情報などを含めてください。
(4)上記を含め、一人一人異なる利用者のニーズに対応できるよう、配慮が必要な人への相談窓口や相談体制を、地元の障害者関係団体等とも連携しながら整えてください。
(5)二次避難にあたっては、家族やコミュニティ、また福祉等の支援との関係を保てるよう配慮してください。
(6)特に、きこえない・きこえにく人へは次のことを行ってください。
①音声アナウンスで行った連絡事項(食事の配布時間、支援物資の内容、入浴案内など)は必ず文字に起こして、ホワイトボードや黒板、掲示板などの決まった場所に掲示してください。
②窓口や避難所に手話言語通訳者や要約筆記者が現地配置できないまたは不在の時に備え、コミュニケーションボードの設置や配布、タブレット端末やスマートフォン等を活用した遠隔手話通訳サービス・遠隔文字通訳の環境(Wi-Fi機器設置、ポケット型Wi-Fiの配布など通信環境も含む)を整えてください。
③緊急番組など災害情報に関する放送における情報保障のため、避難所のテレビは常時、字幕をオンにするとともに、「目で聴くテレビ」による手話・字幕付きの番組を視聴できるようにしてください。

2.在宅者(車中泊・自主避難者を含む)について
(1)必要な物資や医療保健福祉のサービスが届くように引き続き対応してください
(2)行政等が把握した、配慮が必要な人のニーズは、地元の専門性のある障害者団体・支援団体につなぎ、きめ細かい支援ができるようにしてください。
(3)同じく、今後のニーズ把握にあたっても、地元の障害者団体・支援団体との連携を行ってください。
(4)今回の地震で破損した補装具及び日常生活用具については、 耐用年数を待たずに、速やかに再給付を行ってください。

3.仮設住宅について
(1)すでに設置等が進められていますが、建設型、みなし仮設とも、バリアフリーを原則とすることを引き続き要望いたします。
(2)建設型はもちろんみなし仮設住宅についても、バリアフリー等のための必要な改修については補助を行ってください。
(3)福祉仮設住宅を設置する際は、10年前の熊本地震での経験を踏まえつつ、住民が孤立しないよう、一般の仮設住宅または住宅地の中や隣接地に設置してください。遠隔地に設置すれば、コミュニティの保持や、通院や買い物等の移動支援等のため、さらなる支援の必要が生じることとなります。

4.情報アクセシビリティの確保について
 避難所での生活等に関する情報や、今後の災害情報、避難情報、罹災証明や仮設住宅申込などの被災者支援情報については、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法等に基づきアクセシブルなものとしてください。
(1)放送においては字幕放送、解説放送、手話放送を行ってください。
(2)ウェブアクセシビリティを確保してください。
(3)被災者の支援拠点や公的手続き窓口では、手話通訳者、要約筆記者等の配置、筆談、代読代筆などを行ってください。
(4)情報は、ふりがなを振るだけでなく、わかりやすい言葉や、絵・写真を使って作成・提供してください。
   特に罹災証明や仮設住宅申込など、生活再建に必要な情報については、わかりやすい版を作成して、確実に情報が伝わるようにしてください。
(5)これらについては、近隣県や県内の障害者情報提供施設を含む障害者関係団体、目で聴くテレビなどと連携してください。
5.罹災証明や仮設住宅への申込など、手続きの上の配慮
 前項4で述べた情報アクセスの確保と併せて、手続き上の配慮を行ってください。
(1)窓口への移動が困難な人・頻繁には来られない人や、長時間並べない人などがいるため、支援が必要な人は優先的に受け付けるなど一人ひとりに応じた配慮をしてください。
(2)また募集期間・締め切り、その他の手続上の要件の緩和などに配慮してください。例えば家屋が同じ半壊または一時損壊でも、障害のある人にはより大きな影響があることを考慮してください。

6.安全な移動支援の確保
 酷暑の中、障害者本人と介助者が徒歩で移動することは、生命・身体に重大な危険を生じさせかねません。特に、頸髄損傷、脳性麻痺、筋疾患、重症心身障害等により、発汗障害や体温調節機能の低下がある人、また自ら体調変化を訴えることが難しい人にとって、「短距離だから徒歩で移動する」ことを前提とした支援は、酷暑時には現実的ではありません。
 被災地においては、道路・交通事情や仮設住宅等の立地によって移動の負担が増すことも想定されることから、外出や社会参加を断念せずに済むよう、次の措置を講じてください。
(1)熱中症警戒アラート等が発表されている場合、もしくは利用者の障害特性、体温調節機能、健康状態等から熱中症の危険が高い場合に、熱中症予防のため短距離の自動車移動を行ったときは、一定時間を上限として、運転時間についても重度訪問介護、同行援護、行動援護、移動支援等の報酬算定を認めてください。
(2)正式な制度改正までの臨時的な救済措置として、移動介護緊急時支援加算について、熱中症その他利用者の生命又は身体に重大な危険が生じるおそれがあり、特に必要と認められる場合は、上限を超えて算定できるようにしてください。
(3)上記(2)の支援には、身体の冷却、水分・塩分補給、衣服や冷却用品の調整、体位交換、健康状態の確認、涼しい場所への退避等を行うために車両を駐停車した場合を含むことを明確にしてください。
  外出時には、出発時、往路途中、目的地到着時、帰路出発時、帰路途中、帰宅前後など、複数回の体調確認、冷却、水分補給、体位調整等が必要となります。現行の「1日1回」の支援では、往路で算定すると帰路の緊急対応を評価できず、実態に見合いません。
  まずは被災地における臨時措置として速やかに運用し、その実施状況を検証した上で、次期障害福祉サービス等報酬改定において恒久的な制度として見直してください。

7.障害者支援事業所・支援者の支援
(1)被災した事業所が、日額払いのため基本報酬が算定できない、あるいは災害のために加算要件を満たすことができず加算を算定できない等の理由で通常よりも減収になるということにならないよう、必要な措置を講じてください。
(2)被災した事業所での利用者への支援を確保するために、他施設等から職員を派遣する場合の人件費を、受け入れ事業所の負担にしないでください。
(3)社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金の申請を審査する際、原状復帰を要件とするのではなく、被災事業所が復旧と将来の防災に向かうことができるよう柔軟に対応してください。
(4)障害者支援施設やグループホームなどの居住支援事業所では、日中の支援体制に比べて、夜間体制はどうしても脆弱です。また、被災地域に住まいを構えている支援員も多いため、支援員自体が被災して身動きが取れない場合もあります。
   各県行政は、日ごろから地域の離れた(隣県などの)ネットワークを充実させ、被災していない地域からの応援体制を構築していただけるよう隣県との協定を結ぶなど広域協力支援体制を整備してください。

8.災害時における相談支援専門員の相談体制の拡充
 相談支援専門員の役割は、単に障害のある方のニーズを聞き取り、障害福祉計画を立てるだけではなく、地域に不足している社会資源の把握や地域のネットワークづくりなど、多岐にわたっています。災害時には相談支援専門員の持っている情報が被災地支援の大きな要素になっていることを踏まえ、相談支援専門員の絶対数を増やしてください。

9.障害者団体との連携
 被災者支援や今後の復興に向けて、医療保健福祉その他の諸サービスの提供、住まいや生業の再建支援、権利擁護など必要な取り組みは多岐にわたります。
 令和6年能登半島地震対策検証報告書においては、改善の方向性として「災害支援NPO等との連携体制の強化」「災害救助法改正を踏まえた福祉関係団体と連携」などが述べられているところです。
 特に障害者の支援にあたっては、専門的知見と全国的ネットワークを持つ地域の障害者団体・支援団体と継続的に連携し、支援を必要とする障害者の情報を共有するなど、効果的な取り組みを行ってください。

以上

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