要望書・意見書
■最終更新 2016年3月17日
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東日本大震災から5年目にあたってのアピール
東日本大震災の発生から丸5年を迎えるにあたり、被災した多くの障害のある仲間を思い、 今なお山積する課題と、これまでの被災体験や支援の取り組みを踏まえ、次のことを提言します。
- 震災から5年にあたり、住民全体の2倍の死亡率があったとされる障害者の被災の事実とその課題について、 公的統計も含めて今一度の検証を行うとともに、将来に役立てる取り組みを、国、自治体、民間を含むそれぞれの立場で行うこと
- 障害者権利条約、および、仙台防災枠組2015-2030を踏まえ、防災に関わる政策・計画、訓練等の実践を、 障害者を含む「インクルーシブ」なものとするとともに、 災害発生時から復旧・復興のあらゆる過程の政策決定と実施に障害当事者の実質的な参加を図ること
- この目的のための効果的な取り組みを、全国レベル、地域レベルで実践するとともに、 モデル事業の創設など、その好事例を広く知らしめ、推進する枠組みを設けること
- この取り組みには、次のような課題を含むこと
(1)避難支援に関する課題
災害時要支援者(要援護者)名簿の活用や、個別(避難)計画、避難所の課題を含め、
国の新たなガイドラインも踏まえた効果的な取り組み
(2)住宅、住環境に関する課題
障害者・高齢者等が直面している課題を踏まえ、今後に向けた仮設住宅の基本設計の再検証、
および住みやすい災害公営住宅や宅地の開発、必要な改修と、そこにおける障害者等を含む住民支援や地域形成の取り組み
(3)移動と交通に関する課題
津波被害のあった沿岸部をはじめとする、被災地の障害者等の移動を支援するそれぞれの地域に根差した取り組みの推進と、
地域を超えた共通する課題についての広域的な対応
(4)情報アクセシビリティに関する課題
緊急時の警報・放送、防災無線、避難誘導時、避難所を含む場面で、情報アクセシビリティを確保する取り組み
(手話通訳、要約筆記、点字、通訳・介助員による支援、文字・音声・絵図を含む代替手段による情報提供、分かりやすい説明など)
(5)医療、保健、福祉、就労支援を含む被災障害者支援に関する課題
震災で明らかになったこれらの課題の改めての把握と検証、被災地で行われている障害者支援事業への支援の継続と、
そのための諸制度の柔軟な運用
(6)原発事故による被害地域ならびに県外避難における重点的な課題
原発事故の被害地域で多くの障害者とその支援者が生活していることを覚え、
また県外に避難した多くの人が直面する課題を認識し、今後の一層の支援と課題解決の取り組み
2016年3月9日
日本障害フォーラム(JDF)
JDF東日本大震災被災障害者総合支援本部 第五次報告会
参加者一同