JDF-日本障害フォーラム-Japan Disability Forum

JDF は、障害のある人の権利を推進することを目的に、障害者団体を中心として2004年に設立された団体です。

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■最終更新 2013年4月4日

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障害者基本法の改正に関する附帯決議等についての申し入れ

2004年4月7日

自由民主党障害者特別委員会
委員長 八代 英太 様

日本障害フォーラム(JDF)準備会
代表 兒玉 明

障害者基本法の改正に関する附帯決議等についての申し入れ

 貴党におかれましては、障害者の権利の実現、その施策の向上にご尽力されていることに、心より敬意を表する次第です。
 私たち日本障害フォーラム準備会(以下、JDF)は、2002年の「アジア太平洋障害者の十年」最終年フォーラムを契機に、全国レベルの障害当事者団体や支援団体によって構成されるゆるやかな連絡組織をめざしています。私たちの運動の共通項として、国際的には障害者の権利条約の制定、国内的には障害者差別禁止法の立法化などが重点課題とされています。
 障害者基本法の改正は、昨年、改正案が国会に提出されましたが、国会の解散や諸情勢の中で廃案となってしまいました。しかし、今通常国会では、与野党の修正協議がほぼまとまり、衆議院内閣委員会での委員長提案が間近となっています。
 JDFは障害者差別禁止法の立法化を実現するにあたって、そのワンステップとして障害者基本法の改正とともに、その附帯決議の内容がきわめて重要であると認識しています。
障害者基本法の改正案に関する修正の結果は、与野党の皆さんのご尽力により恩恵や保護を意味する記述が薄められ、いくつかの基本的施策や見直し規定についても一定の踏み込んだ記述になっています。
 JDFは、障害者基本法の改正案の採択にあたり、下記の事項について積極的にご検討いただき、障害者施策の更なる前進と障害者差別禁止法の早期実現という見地に立って、所轄の内閣委員会において委員の皆様の意見表明と附帯決議の採択が行われることを切にお願い致します。

1. 附帯決議の採択にあたっては、国連における障害者権利条約の策定の動向を踏まえ、障害者をとりまく差別の実態を積極的に検証し、障害を理由とする差別を禁止するための必要な法的措置を5年以内に早期に実施することを明記していただきたい。

2. 附帯決議の採択にあたっては、本法の改正の目的と理念が、すべての障害者は個人としての尊厳が重んじられ、障害者の自立と障害者が差別されることなく社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動に参加することを促進することにあることを明記していただきたい。

3. 附帯決議の採択にあたっては、障害者の定義を運用上可能な限り包括的にとらえるため、身体障害、知的障害、精神障害の各類型に含まれないとみなされている疾病等に起因して「継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける者」も対象であると解釈し、政府にこの解釈に沿った施策の充実を求めるとともに、次の法改正にあたってはそれを法律本文に位置付けていただきたい。
さらに難病等、疾患の特性や薬効等により症状が変動する疾病等においても、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者についてはこの法律の障害者の範囲に含まれることを明確にしていただきたい。

4. 本改正案の第3条(基本的理念)第3項及び第4条(国及び地方公共団体の責務)では、国や地方公共団体の責務として「差別の防止を図り」に留まっているため、附帯決議の採択にあたっては、差別禁止に立脚し、障害を理由に障害者の権利利益が侵害された場合の効果的な救済の仕組みについて速やかに検討することを明記していただきたい。

5. 情報の利用に関するバリアフリー化に関しては、改正内容が情報技術関連のハードの部分が多くを占めているため、附帯決議の採択にあたっては、手話・文字・点字などコミュニケーション保障のための環境整備を図ることを速やかに検討することを明記していただきたい。

6. 附帯決議の採択にあたっては、教育において障害のある児童、生徒及び学生と障害のない児童、生徒及び学生の交流及び共同学習を積極的に進めるために、次の3点を盛り込んでいただきたい。

 (1)障害のある本人の属する地域社会において、インクルーシブかつ利用可能な教育を選択することができることができる条件整備をはかるための検討を速やかに行うこと(幼年期及び就学前の教育の利用を含む)。

 (2)障害をもつ本人に必要な支援(教員、学校のカウンセラー及び心理学者の専門的研修、利用可能な履修課程、利用可能な教育の代替的及び拡大的なコミュニケーション様式、代替的な学習計画、利用可能な物理的環境、又は障害のある生徒・学生の完全な参加を確保するための合理的配慮を含む。)を提供することができるための検討を行うこと。

 (3)ただし、聴覚障害を有する児童・生徒の教育については、言語環境が異なるために手話による教育環境を保障するための検討を行なうこと。

7. 附帯決議の採択にあたっては、雇用の促進等において、国および地方公共団体は、障害者のより安定した雇用支援策を図るために、医療および人的ケア、所得等に配慮した施策を講じることができるための検討を行うことを明記していただきたい。

8. 附帯決議の採択にあたり、本改正案の目的、理念、基本的施策を具体的に進展させていくために、中央及び地方障害者施策推進協議会の委員構成及び機能と役割については、より実効性を確保することが緊要であるという認識にたち、委員の人選において障害者団体の推薦者枠を設ける等の当事者参画の一層の明確化とともに、障害者基本計画の策定に加えて、次の機能をも含むものとすること。

 (1)障害者基本計画ならびに地方自治体による障害者計画の実施状況に関する監視、評価、提言などのモニタリング機能

 (2)障害分野に関わる基幹的な政策課題についての審議機能

以上

【注】同じ内容の申入書を、2004年4月16日付で、下記宛にも提出。
民主党NC人権・消費者問題担当 原口 一博 様
公明党厚生労働部会長 福島 豊 様
社会民主党政策審議会長 阿部 知子 様
日本共産党内閣部会長 吉井 英勝 様

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