要望書・意見書
■最終更新 2013年3月5日
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精神障害者の社会的入院の解消推進について(要望)
2007年11月12日
厚生労働大臣
舛添 要一 殿
日本障害フォーラム
代表 小川 榮一
精神障害者の社会的入院の解消推進について(要望)
日頃より、精神障害者の保健福祉施策の推進にご尽力をいただいておりますことに、敬意を表します。
さて、実数、人口比ともに世界最多の精神科病院病床数を有するわが国において、社会的入院の解消は喫緊の課題であることは政府も認めているところであり、障害者基本計画において7万2千人の社会的入院解消の数値目標を定めると共に、総合的な取り組みを促進し、退院、社会復帰を可能とするサービス基盤を整備することとしております。
ところで、政府は、私どもの再三の中止要望にも関わらず、昨年10月に精神科病院敷地内の「地域移行型ホーム」を、更に今年4月には「退院支援施設」を施行しました。精神科病院敷地内施設を「多様な選択肢の一つ」としながら、他の選択肢としてのサービスは、極めて貧弱な実態にあります。
例えば、住む場所の確保としての居住サポート事業は、必須事業でないこともあり、実施市町村は極めて少ない状況にあります。
介護給付は、実施事業所が少ないことや情報提供や支給決定がきちんとなされていないことから、サービスを受けている者は極めて少数となっています。
また相談できる場所や安心して駆け込める場所そしてショートスティなどは、なお、遅々として整備が進まず、また、退院促進事業も政府の財政的裏づけが十分でないことから、広がりをみせていません。
こうした基盤整備の不十分さにより、精神科病院病床数は目立った減少をしておらず、措置入院を含め新規入院は増え続けている状況にあります。これは、事実上、精神科病院入院以外の選択肢が保障されていないためです。そして、新たな社会的入院が積み重ねられていると言えます。5年以上の長期入院者が約15万人という現状を変える必要性があると思われます。
昨年12月に国連で採択された障害者権利条約は、その19条で地域生活の権利と政府のそれに向けた施策の義務を定めています。政府はこの条約に署名し批准への意思を国際的に明らかにしましたが、条約の批准に向けても、社会的入院者の退院支援と、更なる社会的入院者を出さない施策が求められています。
このような観点から、以下について要望いたします。
記
1 精神障害者の社会的入院は人権問題であると明確に位置づけたうえで、社会的入院者の退院支援策を国の責任として強化し実施してください。
2 「地域移行型ホーム」および「退院支援施設」については撤回してください。
3 新たな社会的入院者を生み出さないための地域生活確立への支援策を立て、実施してください。
以上