JDF-日本障害フォーラム-Japan Disability Forum

JDF は、障害のある人の権利を推進することを目的に、障害者団体を中心として2004年に設立された団体です。

JDF

要望書・意見書

■最終更新 2013年3月5日

HOME>要望書・意見書>障害者権利条約厚生労働省関連(2回目)の項目についての意見書

障害者権利条約厚生労働省関連(2回目)の項目についての意見書

2008年10月29日 第6回 政府意見交換会

日本障害フォーラム

障害者権利条約厚生労働省関連(2回目)の項目についての意見書

1.関連法制における障害および障害者の定義の見直し

  (前文(e)、第1条、第2条ほか)

(1)障害者自立支援法をはじめとする各福祉法
 2008年5月26日に開催された第3回政府意見交換会(以下、第3回意見交換会)では、障害者自立支援法については社会保障審議会障害者部会等で議論を深め見直しを行いたい旨の発言があった。その後の社会保障制度審議会障害者部会において、多数の委員、ヒアリング団体から、障害者自立支援法の障害の範囲を、障害手帳を持っていない、いわゆる発達障害、高次脳機能障害、軽中度難聴、難病等についても対象となるように同法第4条の見直しが必要との見解が示されている。
 この点を含め、障害者の権利条約(以下、権利条約)との整合性確保の観点から、障害者基本法を始めとし、障害者自立支援法、身体障害者福祉法、精神保健福祉法、発達障害者支援法などの法律の障害の範囲や定義の見直しがどの程度行われており、今後どのように予定されているのか具体的に伺いたい。

(2)身体障害者福祉法第4条に基づく身体障害者障害程度等級表
 第3回意見交換会において、障害者自立支援法における障害の定義や範囲を国際的水準と比較し検討する旨の発言があった。これについて、身体障害者福祉法第4条に基づく身体障害者障害程度等級表(いわゆる別表)の見直しがどの程度行われており、今後どのように予定されているのか具体的に伺いたい。

(3)障害者雇用促進法
 同様に、障害種別の福祉法で規定されている医療モデルに基づく手帳制度を根拠としている現状の障害の範囲及び等級の全面的な見直しも図られるべきである。特に、労働場面での支援の必要性の実態と乖離している重度障害の定義及び障害の範囲の見直しがどの程度行われており、今後どのように予定されているのか具体的に伺いたい。第3回意見交換会において、障害者雇用促進にあたって手帳制度に準拠する現行制度の弊害について若干の指摘をしたところである。その際にも検討が必要とのお答えをいただいた。具体的にこの見直し作業は行われているのか、或いは行われる予定があるのか、お聞かせ願いたい。

2.障害者団体との協議(第4条、第33条ほか)

(1)「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応のあり方に関する研究会」について
 第3回意見交換会で要望した「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応のあり方に関する研究会」に対するJDFとしての委員派遣に対するご返事をその理由と共に伺いたい。また、聴覚障害者の団体も参加していないなどの問題もあり、団体ヒアリングにとどまらず、政策や制度の決定プロセスにおける当事者参画を重視する条約の趣旨にも則りつつ、委員枠の拡大を図ることに対する可否及びその理由も伺いたい。
 また、当研究会でのテーマとなっている「合理的配慮」以外のテーマについて、例えば「雇用・労働の場における差別」に関する研究等も必要であると思われるが、お考えか見解をお聞きしたい。

(2)障害保健福祉分野について
 障害保健福祉分野においても、「障害の範囲や定義」「地域での自立生活」等を巡り、上記の「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応のあり方に関する研究会」に類した、権利条約対応のための研究会等を立ち上げるべきであると考えるが、その可否及びそのように判断する理由を伺いたい。

3.地域における自立生活の権利としての保障
  (第3条、第19条、第20条ほか)

(1)地域で生活する権利についての確認

1) 第19条の意義と権利規定について
 第19条は、障害者がそれまでの慈善や治療、社会保護の「客体」ではなく障害のない人と平等に自己の権利が主張でき、それまで排除されてきた地域において、自立した生活をすることができる主体となるというパラダイム(大きな枠組み)の転換をする権利条約の基礎となる条項である(国連の資料や交渉過程等の議論)。
 第19条では、障害のない人と平等に誰とどこに住むか選択できる権利を規定している。この権利は、国際人権条約上、本条約において初めて導入された新たな概念である。この権利は、さまざまな支援を受けながら自己決定しながら地域で自立した生活をすることを意味するのは、条約交渉等からの解釈上明白である。
 また一般的義務を規定する第4条の1項(c)で、「全ての」政策及び計画において、障害者の人権の保護・促進を考慮に入れる、と規定した。「全て」に福祉施策が含まれるのは言うまでもない。
以上の確認を踏まえ、地域での生活を送る権利を障害者に対して障害のない人と平等に保障するための新しい概念となる「地域生活の権利」が、障害者基本法及び障害者自立支援法をはじめとする福祉各法において明記されるべきであると考えることについての可否及びそのように判断する理由を上記各項目に即して伺いたい。

2) 自由に選択する権利
 障害者が障害のない人と同様に誰とどこに住むかを自由に選択できることを具体的・現実的に保障されるためには、障害のない人と平等な地域生活を送ることを可能とする環境整備やサービスの提供が大前提である。そのための具体的な数値目標を掲げたプログラムをそれを実施するための財政的裏付けを含めてお示しいただきたい。

3) 特定の生活様式(a particular living arrengement)を義務付けされない事について

 第19条(a)項では、障害者は特定の生活様式が義務付けられない、としている。特定の生活様式とは、入所施設や病院などを指す事は、条約交渉の過程からも明らかであり、特定の生活様式が実質的に強要されていることが即時的に是正すべき場合もあることも、権利条約の交渉過程から明らかである。
 特に、権利条約違反である社会的入院を余儀なくされている精神障害者の地域移行についての取り組みについて、第3回意見交換会では、この問題について重点的に取り組み、検討会を設置する旨の発言が担当者よりなされている。
 以上を確認するとともに、精神障害者、知的障害者、身体障害者における「施設から地域移行」の進捗状況と今後の具体的で実効性のある推進策をお聞かせ願いたい。

(2)地域社会での生活と完全な参加を可能にする施策の拡充

1) 在宅サービス、居住サービスその他の地域社会の支援サービスへのアクセスのための基盤整備
「施設から地域へ」とのスローガンは掲げられても、未だに施設中心のサービス・財源構成となっているのが現実である。そのため、厚生労働省の資料でも、過去2年間で「施設からの地域生活移行者」を倍する者が、新たに施設に入所している状況が明らかになっている。(2005年→2007年の地域生活移行者9,344人に対して、新規入所者18,556人。2008年5月社会保障審議会・障害者部会資料)
以上を確認するともに、新たな社会的入院・入所を防止するとともに、どんなに重度の障害があっても地域での自立生活が可能となるよう、地域生活サービスの基盤整備と財源を確保するための法整備の必要性について、具体的にお考えをお聞かせ願いたい。

2) 条約第19条に明記されているパーソナル・アシスタンス実施のための方策
条約第19条には、障害者の自己決定に基づく当事者主導のサービスである「パーソナル・アシスタンス」を含むサービスの確保が明記された。
以上を確認し、今後の居宅介護の質的量的充実及び介護者確保に対する具体的な施策と、長時間の見守りを基本とする重度訪問介護を知的障害者にも対象拡大することの是非及びそのように判断する理由を明らかにされたい。

(3)障害者自立支援法の見直し等

1) 条約の「自律・自己決定」と地域における生活の権利規定との関係
 第3回意見交換会では、障害者自立支援法と条約の趣旨は共通しているのではないかとの発言があった。しかし、前述の通り、条約の第19条では、障害のない人と平等に地域で暮らす権利を規定しているが、障害者自立支援法では地域における生活が権利とは定められていない。
 さらに、同法1条の目的に、「障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう」となっており、条約の「自律・自己決定」と異なっている。
 以上について、権利条約の批准の前提とし、「その有する能力及び適性に応じ」とある部分を障害者本人の自律・自己決定を尊重する文言へと改変するとともに、新たに地域生活のために必要な福祉サービスの受給を権利として規定することの是非及びそのように判断する理由を明らかにされたい。

2) 障害者自立支援法の「障害者等の範囲」の見直し【※1-(1)で記述済】

3) 個人の移動性の確保と移動支援

 第20条では、「障害のある人が選択する方法で及び時に、かつ、負担可能な費用で、障害のある人の個人の移動性を容易にすること」とされている。しかし、障害者の社会参加に関わる移動支援事業が裁量的経費の地域生活支援事業とされ、各種の利用制約や費用負担により移動が困難になるなど条約に反する状態も生じている。
 これについては、障害者部会においても多数の委員、ヒアリング団体から移動支援の個別給付化の必要性の意見が出されており、どのようにして障害者の移動及び社会参加の権利を実現していくのかについて具体的な見解と実効性のある施策を示していただきたい。

4) アクセシビリティの確保とコミュニケーション支援
 第21条では、「手話、点字、拡大代替〔補助代替〕コミュニケーション並びに自ら選択する他のすべてのアクセシブルなコミュニケーションの手段、形態及び様式を用いることを受け入れ及び容易にすること」を求めている。しかし、障害者自立支援法では、コミュニケーション支援など「市町村地域生活支援事業」は裁量的経費の中に位置づけられている。また、「盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業」等の都道府県地域生活支援事業も同様である。手話通訳者や要約筆記者、通訳・介助者等の派遣事業は、未実施の市町村や県が多く残され一部自治体では有料化も始まっている。
 これに対して、第3回意見交換会では、地方自治体の判断に任せているとの発言があったが、地域によってコミュニケーション支援の確保を困難にする事態が生じているのは障害者自立支援法のそもそもの理念にも反する大きな問題ではないのか。生活していくうえでの基本的権利であるコミュニケーション支援等は義務的経費とすべきであり、全市町村および全県での完全実施、無料化を徹底すべきであると考えるが、これらへの見解と具体的かつ実効性のある施策を示していただきたい。

5) サービス利用抑制、サービス支給量の減少の問題

 サービスの利用抑制、支給量の減少について、第3回意見交換会では調査結果についての発言があった。しかし、権利条約第19条の趣旨に照らして重要となるのは全体の平均数値でなく、一人ひとりが地域で自立/自律した生活を送るために必要なサービスの量と質が確保されているかということではないのか。現実問題として、各地で予算額の減額および固定化等によるサービスの利用抑制や支給量の減少が起こっている事実を重く受け止める必要がある。

 以上の事態について、社会権的権利実施における後退措置禁止義務に照らしその是正のための具体的な方策を明らかにされたい。

 

4.アクセシビリティ、表現の自由と情報アクセス
  (第2条、第9条、第21条ほか)

 第9条においてはサービス等へのアクセシビリティの確保、第21条では情報を受け取ることを含む表現の自由の権利行使を確保するための適切な措置をとると規定されている。これらは、条約上の権利行使の最も基本となる部分である。
 これらの条文については、第2条で定義されている「コミュニケーション」に関する手段が適切に保障されることが、条文の実施のために必要である。
第3回意見交換会では、厚生労働省に加えて総務省からも回答があった。このことからも明らかな通り、複数の省庁にまたがる課題であり、総合的な情報保障に関する法制度が必要と考えるがいかがか。

5.医療等(第4条、第12条、第25条、第26条ほか)

(1)精神保健福祉法上の保護者制度及び措置入院制度
 第3回意見交換会でも表明したとおり、精神保健福祉法の保護者制度及び措置入院制度は、権利条約第12条2項の「あらゆる側面において他のものとの平等を基礎として法的能力を有する」との規定と、第25条(d)の「保健の専門家に対し、他の者と同一の質の医療〔ケア〕(特に、十分な説明に基づく自由な同意に基づいた医療(free and informed consent))を障害のある人に提供するよう要請すること。」に違反していると考える。JDFとしては、制度を改廃すべきであると考えるが、前回、明確な回答は無かったと記憶している。また、自傷他害の別表関連については、持ち帰るとしたが、これらの点につき、重ねて貴省の見解をお聞きしたい。
 (参考:自傷他害の別表は→ http://www005.upp.so-net.ne.jp/smtm/page3301.htm)

(2)心神喪失者等医療観察法
 心神喪失者等医療観察法について第3回意見交換会では、管掌は法務省とのことでお答えいただけなかったが、今般の厚生労働省令133号は法の趣旨の根幹を破壊するものと考える。省令により法務省所管の法律の根幹を変質させることが、許されるのか。
 また、国連においては、「被拘禁者」の中に非自発的な施設への入所者が入っていることは、もはや自明である。心神喪失者等医療観察法と権利条約第12・14・15・16・17・19・25d・26b条との間での貴省の見解をお聞きしたい。

(3)患者の権利の確立
 第25条(d)(e)項の規定を担保する患者の権利を保障する法律が必要である。日本にはインフォームド・コンセントを担保する法律・制度が無く、現状では権利条約に抵触する。貴省はいかがお考えか。

6.雇用・労働
(1)差別禁止と積極的差別是正措置(第4条、第5条、第27条など)

1) 雇用・労働分野での差別禁止のための制度について

(ア)「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応のあり方に関する研究会」(以下、研究会)
 研究会において合理的配慮の議論がされていると聞いている。議論の中で、どのようなことが問題になっており、いつごろとりまとめをするのか、できるだけ詳細にお聞きしたい。

(イ)差別禁止
 第27条(a)に関連して、第2条で定義されている「直接差別」、「間接差別」、「合理的配慮を行わないこと」という障害に基づく差別を禁止する法律は条約の履行に必要である。これについて、第3回意見交換会では、千葉県において障害者差別禁止条例(正式名称は障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例)策定の際に行われたタウンミーティングのようなものが必要であるとのJDFからの意見に対し、審議会等で機会を作りたい旨の回答があった。権利条約実施には欠かせない事項であると考えるが、具体的に進捗しているのか。あるいは今後の予定をお聞かせいただきたい。

2) 障害者雇用促進に関連して

(ア)障害の範囲 【※大項目1-(3)で記述済】

(イ)ダブルカウント制度と実際の雇用率
 第3回意見交換会において、重度障害者のダブルカウント制度に対する貴省の認識として、ダブルカウント制度は、重度障害者の雇用の促進に有効ではないか、とのことであった。しかし、JDF加盟団体による調査によると、シングルカウントによる実際の雇用率は2005年度で1.09%ということで、1993年の数値と大きな変化が無いという結果が出ている。
 また、ダブルカウント制度は障害者の尊厳に関わる問題であり、差別問題である。実際の雇用促進効果に疑問がもたれ、しかも差別性を帯びているダブルカウント制度に代わる制度が必要であると考えるが、どのようにお考えか。

(ウ)最低賃金減額特例
 最低賃金法の「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」という最低賃金減額特例は、障害について直接言及していることもあり、改正すべきである。スウェーデンやオランダなどのように、労働対価の不足分については、事業者に負担がかからないように国等で最低賃金分を保証すべきである。見解をお聞かせ願いたい。

(エ)雇用の継続および発展・職場復帰のための制度確立
 雇用促進法の適用時期は永続的なものではなく、条約の規定上、現行の雇用促進法を、雇用の継続および発展を明確に位置づけた法律に改変すべきである。そのためには、障害者への個別の支援、受け入れ側の体制整備も同時に行われなければならない。例えば、電動車椅子と介助者を利用して社会生活をする障害者には、通勤に対する支援(例えば介助者やガイドヘルパー利用のための支援)職場での合理的配慮、職場介助が必要となる。国や自治体、企業がそれぞれの役割を分担することになるが、体系だった支援が必要となるのはいうまでも無い。条約が規定する権利の実施にはこうした体系が必要であるということである。しかし、現行体制では、自立支援法、雇用促進法が別体系で施策が進められており、雇用の継続および発展のための法律は存在しない。
 まず、自立支援法には社会参加への支援が規定されていないが、この点についてのご意見をお聞かせいただきたい。そして、自立支援法施行後、どの程度一般就労への移行が進んだのか、具体的な統計があったらお示しいただきたい。
 さらに、労働部門における施策である地域障害者就労支援事業の具体的な成果についてもご教示いただきたい。

(2)個別事項について(主に第27条について)

1) いわゆる福祉的就労の問題
 あらゆる形態の雇用に係るすべての事項に付き、障害に基づく差別を権利条約第27条(a)では禁止している。自立支援法上の就労移行事業や就労継続支援事業は条約上の「あらゆる雇用形態」に含まれると思われるが、特に、①利用者負担、②就労継続支援事業所への労働法規の適用の問題が解決されないと条約違反になるが、具体的に対策を講じているのか。
 自立支援法上の就労支援では、その制度の利用者は一定の負担を強いられ、一方、障害のない人の就労支援は無料の職業訓練校利用や日当も支給される。障害のない人及び一般就労につながる障害者と、そうでない障害者の制度上の差別である。権利条約第19条(c)では、他の者と平等に障害者が地域社会サービス及び施設が利用可能であり、障害者のニーズに応ずることを確保する、とある。至急是正の必要な部分であると思われるが、いかがお考えか。

2) 障害者と障害のない人の分離された雇用体系について
 第3回意見交換会の意見書の7-(2)-2)ならびにそれに関連する質疑において、特例子会社等の問題点、すなわち障害者と障害のない人との分離された雇用体系への指摘を行った。
 権利条約第27条第1項柱書きでは、障害者への労働をもつ権利の中には、インクルーシブでアクセシブルな環境において、障害のある人が自由に選択し、引き受けた労働を通じて生計を立てる機会の権利も含まれる、とある。インクルーシブとは、「社会の側が障害者をそのまま受け入れること」という意味で使用されている概念であるが、現行の特例子会社並びに支援法上の就労支援・就労移行体制は、条約の規定にあるインクルーシブな環境であるといえるのか。また、障害のない人と平等に職業や職場を選択する権利を保障する制度であるのか。

7.その他(第7条、第28条ほか)

(1)障害者の所得保障
 自立支援法の附則3に関連して、障害基礎年金引き上げを含む所得保障の議論はどこまで進んでいるのか。第3回意見交換会でも若干触れたが、明確なお答えはいただけなかった。重ねて、具体的にご回答いただきたい。

(2)自立支援法での利用者負担
 権利条約第28条では、障害に関連する適切で負担可能なサービスをアクセスする措置について規定している。類似の規定が第19条(c)や第20条(a)にも存在する。障害福祉サービスの利用に対し、定率に負担を求める自立支援法の規定と条約の規定の整合性について、緊急措置や特別措置が図られているのは勿論存じているが、どのようにご認識されているか、うかがいたい。

(3)障害のある子どもの権利の視点からの法整備
 条約は、成人とは区別して発達する時期にある子どもの権利を尊重することを一般原則として規定し、第7条において、基本的人権の確保や意見表明の権利の実現など、子どもの権利条約で示された原則が障害のある子どもに達成されることを求めている。

 7月にまとめられた障害児支援に関する検討会報告書でも、「見直しの背景」として、国連の児童権利宣言や子どもの権利条約の権利規定があげられている。児童福祉法をはじめとする条約批准にかかわる国内法の見直しにおいて、子どもの権利を明確に盛り込むといった視点での検討が必要と思われるが、この点での見解をうかがいたい。

ページの先頭へ