JDF-日本障害フォーラム-Japan Disability Forum

JDF は、障害のある人の権利を推進することを目的に、障害者団体を中心として2004年に設立された団体です。

JDF

要望書・意見書

■最終更新 2013年3月5日

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阿久根市長の差別記述に対する抗議

2009年12月21日

鹿児島県阿久根市長
竹原 信一 様

日本障害フォーラム(JDF)
代表 小川 榮一

阿久根市長の差別記述に対する抗議

 私たち日本障害フォーラムは、全国規模の13の障害者団体・関係団体から構成され、国内の大多数の障害関係団体が何らかの形で参加している組織です。
 先ごろ市長がそのブログの中で、「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった。」と書き込んだことが報じられています。
 このような記述は、市民の障害者に関する見方を著しくねじ曲げるだけではなく、障害者が社会で尊厳をもって生きることを否定する以外の何ものでもありません。障害者に対するあからさまな差別発言であり、断じて容認できません。ここに強く抗議します。
 これまで障害者は、生活のさまざまな場面で差別を受け、障害をもって生きること、生まれること自体が、社会の誤った認識によって脅かされ続けた歴史を持っています。そして今なお、この誤った認識の下で苦しんでいる仲間たちは少ないだけでなく、「障害」を理由として、まさに生命を奪われてしまう事例が後を絶ちません。このような事態は、いかなる理由をもってしても正当化することは許されません。
 2006年に国連で採択され、2008年に発効した「障害者権利条約」は、わが国政府も署名しているところです。この条約では、障害のある人は固有の尊厳をもち、差別を受けることがなく、社会に完全に受け入れられることが明言され、また特に生命に対する権利や、障害のある子どもの権利を尊重する旨が定められています。
 この条約は、市民一人ひとりの認識を問うだけではなく、社会のあり方に変革を求めるものであり、障害のある人もない人も等しく参加できるよう、社会が変わることによって、障害を理由とした差別が本質的に解消することを求めています。
 こうした障害者権利条約の精神に照らして、国や自治体が担うべき責務は明らかであり、市長という公職にある貴殿が今回公表した記述は、まったくの論外と言わざるを得ません。ただちに全面的に撤回し、謝罪することを求めます。

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