要望書・意見書
■最終更新 2013年4月4日
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交通基本法案の今国会における成立と、障害者等への対応に関する要望
2011年8月9日
民主党代表 菅 直人 様
民主党幹事長 岡田 克也 様
日本障害フォーラム(JDF)
代表 小川 榮一
交通基本法案の今国会における成立と、障害者等への対応に関する要望
日頃より障害者施策の推進について格別のご高配を賜り厚く御礼申しあげます。
さて今国会に提出された交通基本法案は、私たち障害者にとって、このたび成立した改正「障害者基本法」や、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」等とあいまって、障害者が他の人と同じように社会生活を営んでいくうえで、重要な法律と捉えています。
今回の交通基本法案は、過去に廃案となった法案と比べ、「移動に関する権利」の規定がないこと、「都道府県・市町村交通計画」の規定がないことなど、後退した点が見受けられます。
しかしながら、現在、障害者権利条約の批准に向けた国内法整備が進められ、また来年度は新たな障害者基本計画の策定の時期にあたることから、本法案がこれらの作業の重要な基礎となると考えます。
つきましては、本法案が、今国会で速やかに成立することを求めるとともに、成立にあたっては、次の事項への対応を求めます。
記
1.今国会での法案の成立を
上述のとおり、交通に関わる各種法律・施策の基礎となる交通基本法案を、今国会で速やかに成立させてください。
2.他の市民と分け隔てなく安全な交通の利用を
障害者にとっては、駅ホームからの転落による事故、乗車拒否などの事例がなお後を絶たず、今の交通の仕組みには多くの課題が残されています。
このことから、「高齢者、障害者等の円滑な移動のための施策(第17条)」等においては、誰もが他の人と分け隔てなく安全に移動できる内容としてください。
3.地方公共団体においても、施策の計画的な実施を
交通に関する施策の計画的な実施は地方公共団体にも不可欠であり、都道府県・市町村交通計画の規定が強く望まれます。少なくとも、地方公共団体において、障害者を含むさまざまな市民の参加の下、交通に関する施策が計画的に行われるよう法に規定し、またその旨を国の交通基本計画にも盛り込んでください。
4.関係法令の見直しを
交通に関する施策を総合的に進めていくため、本基本法を契機に、バリアフリー新法や「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」等関連法令を見直してください。誰もが安心して利用できる交通の仕組みを作り、移動に関する権利を実質的に保障し裏打ちしていくためにも、このことは不可欠です。
5.移動権に関する議論を
「交通基本法の制定と関連施策の充実に向けて-中間整理-(平成22年3月)」においては、移動権の保障は本基本法の根幹に据えるべきとしています。
また障害者権利条約の批准に向けて成立した改正障害者基本法では、すべての国民が障害の有無に関わらず等しく人権を有するかけがえのない個人であることを規定しています。
この観点からも、交通基本法を契機として、移動権に関する議論を、障害者を含む広範な参加の下に行ってください。
6.障害者等移動制約者の相談・救済の仕組みと情報収集を
障害者等移動制約者が、交通施設等の利用における不具合や権利を侵害されたと感じたときに、その事案をどこに持ち込めばいいのか、その受け皿(窓口)が思い浮かばないのが現状です。
そうした課題解決や相談、救済の仕組みを構築するとともに、事例を収集し対応策を検討してください。
7.法の評価と見直しを
上記のことにかんがみ、本基本法についての評価、検討と見直しについて定めるとともに、見直しの時期を法律に明記してください。
以上
※同日付で各政党宛に提出