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■最終更新 2012年5月28日
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運転免許等の資格制度と欠格条項についての声明
2012年5月28日
運転免許等の資格制度と欠格条項についての声明
日本障害フォーラム(JDF)
代表 小川 榮一
日本障害フォーラムは、全国13の障害者団体・関係団体から構成される民間団体です。
昨年来の、てんかん発作を原因とする、またはその関連について調査中とされる一連の交通事故により、
多くの犠牲者が出たことは誠に痛ましく、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
遺族の方々には改めて心より哀悼の意を表するものです。私たちは、交通の安全を確保し命を守ろうとする取り組みに敬意を表し、
また免許の不正な取得により事故が起こることはあってはならないと考えます。
一方、障害者権利条約の採択(2006年)、発効(2008年)を受け、現在、国においても条約批准に向けた制度改革が進められており、
その一環として障害者差別禁止法(仮称)に向けた議論が活発に行われています。私たちは、民間団体としてこの動きに参加し、推進する立場にあります。
1999年(平成11年)より「障害者に係る欠格条項の見直し」が行われ、資格取得の可否は特定の障害や疾患があるか否かによるのでなく、
その人の適性や能力によるとされたのは、制度的な前進であり、障害者団体による長い運動の成果です。
特定の障害や疾患があることのみを理由に、ある資格が一律に取得できないとされることは、
適性や能力がある多くの人から社会参加の機会を奪うこととなります。また、その障害や疾患に対する社会のイメージを低下させ、
差別や偏見を助長することにもつながります。欠格条項の見直しを機に、多くの人たちが、
職業をはじめとして様々な分野への可能性を開き、活躍し、社会や経済に貢献している事実を忘れてはなりません。
障害者本人の適性や能力が活かされ、障害や疾患を理由に社会参加が阻まれることのない社会のあり方が求められます。
このことから、運転免許等の資格制度と欠格条項について、次のことを申し述べます。
記
1.運転免許等の資格取得の可否は、その人の適性等を適切に判断したうえで決めるべきであって、 ある特定の障害や疾患があることのみを理由に制限すべきではありません。 今後の資格制度の見直しや運用にあたっては、あらゆる人の安全や生命を守ることはもちろんのこと、 同時に、特定の障害や疾患をもつ人たちが一律に不利益を被ることのないよう配慮し、障害者団体の意見を十分に聴取してください。
2.国において障害者権利条約の批准に向けた制度改革が行われ、障害者差別禁止法(仮称)の議論が行われている中で、 障害者に係る欠格条項の見直しの取り組みが、今後とも逆行することのないようにしてください。