JDF-日本障害フォーラム-Japan Disability Forum

JDF は、障害のある人の権利を推進することを目的に、障害者団体を中心として2004年に設立された団体です。

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要望書・意見書

■最終更新 2012年8月13日

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雑誌「プレジデント」2012年7月16日号「編集長から」の記載に対する抗議

2012年8月10日

株式会社プレジデント社
代表取締役社長 長坂 嘉昭 様

日本障害フォーラム(JDF)
代表 小川 榮一

雑誌「プレジデント」2012年7月16日号「編集長から」の記載に対する抗議

 私たちは、全国13の障害者団体・関係団体から構成される民間組織です。
 貴社発行の標記の記載を読み、私たちはその事実と異なる誤解に満ちた内容に、驚きを禁じ得ません。少なくとも、次の事柄について、大きな疑問を感じます。
 第一に、精神障害者が共に働くこと、またその雇用義務化について、これまでの取り組みや施策等の事実を一切無視し、「信じ難い」、「一緒にどうやって仕事をするのでしょう」とする記載です。精神障害者の就労に関わる取り組みは長く行われており、一般企業を含むさまざまな就労の場において、共に働いている例はあまたあります。また障害者雇用促進法に基づく精神障害者の雇用率算定は、今回の雇用義務化に先立って既に行われています(2006年4月施行)。
 第二に、診断基準書という客観的に見えるものを取り上げたうえ、急性期症状に関わるごく一部を細切れに引用するとともに、それによって、統合失調症、ひいては精神障害のある人全般を、「『幻覚を見て、何を言っているかわからない』人」と断定することです。
 第三に、精神分裂病から統合失調症への名称変更についての、事実と異なる記載です。名称変更がなされた背景には、旧名称が想起させるようになった誤解と偏見の歴史、医療・福祉・権利擁護等の取り組みによる社会復帰の促進や、科学の進歩等により病気や障害の概念そのものが明確化されたことなど、多様なものがあります。その旧名称をことさらに取り上げ、「治療により回復可能とわかり、名称が変わったそうです」と単純化することは、名称変更の背景にあったさまざまな議論と経緯を切り捨てるものと言えます。
 障害者権利条約の国内での批准に向けて、昨年には障害者基本法が改正され、また現在は障害者差別禁止法(仮称)の制定に向けた作業が続けられおり、障害者が等しく基本的人権を有する個人として尊重される社会が、法制度のうえでも整備されつつあります。
 このような中、私たちは、上記のような記載に対して抗議するとともに、下記について、8月末日までに書面による回答を求めます。

1.大きな発行部数を誇り、社会的責任ある貴誌が、その編集長により上記のような記載をされることの真意は何か、お答えください。

2.事実と異なる、誤解に満ちた記載について、訂正と謝罪を誌上に掲載してください。

3.今後このような記載がないようにするため、貴誌でどのような対応をされるのかお教えください。

障害および障害者に関わる社員教育・啓発の推進や、「障害者の社会進出という目的を果たすためにも、正確でオープンな議論をしてほしい」と書かれていることも踏まえ、そのような特集記事の掲載も求めます。

以上

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